どーも皆さんお久しぶり。 最近ネタに走り始めたIiSAMの阿呆一号、ブラッドです。
高機動新型機として配備されたフロストを速攻で購入したら一ヶ月の貯金が全部吹っ飛びました。
今回は正規戦開始後、初のレポートですヨ。

 

 

Report2
05/06/10 Shake hands with me

 

初夏の早朝、雨のフリーダム市を回る。
WAP運用試験時代と変わらず、ここは気に入りの持ち場だ。

 

雨が止み、日差しが垣間見えてきたころ、敵WAP侵入の報を受ける。
どうやら、相手も一人らしい。狙撃を警戒しつつ、潜伏しているらしい北西地区へ急行する。

 

立体駐車場のスロープを駆け上がると、そこには二挺の大型SGを携えたレイドが立っていた。
クロスファイティングがお好みらしい……面白い、受けて立とう。俺はまだローンの残る両手の50式霧島を構える。

 

俺は牽制に一発放ち、肉迫を試みる――、響いた銃声はたったそれ一回であった。
相手はこちらの発砲など意にも介さず、いきなり凄まじい勢いで両腕を振り回し始めたのである。いわゆる"腕振り"だ。
新兵間では滑稽な挑発と受け取られることが多くなり、"装甲板を超えた戦場の絆"という意味がぼやけた昨今に、
久しく運用試験時代の粋を感じさせてくれる兵士のようだ。
その心意気に俺も全力の腕振りで応える。

 

数分後到着した友軍も混じえ、三人で腕を振りまくる。あとで整備兵にどやされそーだが、今そんなことはどうでもいい。
大事なのは、この三人の間に確かに何かが繋がっていることだ。

 

しばらく腕を振り続けたところで、俺と相手は動きを止め、おもむろに銃身を持ち上げる。
戦場で心を通わせた兵士どうし、やることは決まっている。
――そう、真っ向切ってのタイマンだ。友軍機が屋上から見守る中、俺と相手は大通りに出る。
お互いにある程度距離を取り、向き合うと、それは間もなく始まった。

 

 

 

 

 

 

 

ローラーダッシュを駆使したアサルトどうしのドッグファイトの果て、先に相手のボディを捉えたのは俺の霧島だった。
レイド系のシンプルなデザインのボディが砕ける。

 

全損大破こそ免れたものの、駆動系が完全に死んだ相手の機体はそのままそこにしゃがみ込んだ。
しばらくすればOCUの回収部隊が来てくれるだろう。俺は一礼してその場を去る。
ここに一つの出会いが生まれ、そしてまた過ぎ去った。

 

 

 

 

補給のための一時帰還。その途中に見上げると、先ほどの雨が嘘かのようなスカッとした空があった。
ビルの合間から、半分昇った太陽の光が洩れる。
そこでふと気が付いた。そういえばあの機体――。

 

 

 

 

 

思い出したのはまだ記憶に新しい雨の日だった。
ぶっちゃけ言って、彼らが同一人物だという確証はない。だが――。
また会えるかも知れない。なにか漠然とそう思って、俺はその場を後にした。
今日も、暑くなりそうだ。

 

※著者より:名も知らぬOCUの一兵さん、心の潤う一時をどうもありがとうございました。
Krazy.Ivanさん、彼との一騎打ちのために自ら進んで自爆までしてくださり、感謝の言葉もありません。
最近、β時代と比べ殺伐とした印象が強くなった激戦区にて、久しぶりに清々しい気分になれました。
お二人とも、またいつか、どこかでお会いできる日を楽しみにしています。

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